日本交通株式会社様

タクシーチケットの集計をAI×OCRで自動化!
営業所の業務を大幅削減した事例とは?
業種:運輸業
製品:AIRead、AIRead ETL Option、AIRead Screen Designer

日本有数のタクシー事業者である日本交通株式会社は、人の手によって仕分けされていたタクシーチケットの集計業務を、AI×OCRソリューションの導入によって一新した。アナログな手作業を自動化し、営業所の入力業務を大幅に削減したというAI×OCRは、どういった経緯で導入されたのだろうか。

「タクシーチケット」という紙文化が課題となっていた日本交通

タクシー業界で日本一の売上高を誇り、7,800台超のハイヤー・タクシーを運用している大手タクシー会社、日本交通。代表取締役会長である川鍋一朗氏の主導のもと、ITに対して攻めの取り組みを行っており、早くから自社グループでIT部門を持っていたことでも知られる。

タクシーの配車を行えるスマートフォン向けアプリ「JapanTaxi」は数々の賞に輝き、日本におけるタクシー配車アプリの先駆けとなった。支払い方法のキャッシュレス化にも早期から対応しており、いまやクレジットカードや電子マネーなど現金以外の決済が6割を超えている。日本交通は、日本のタクシー業界のIT化を牽引する企業といえる。

そんな日本交通でも、タクシーの乗車料金を精算できる「タクシーチケット」は現在でも利用され続けており、キャッシュレスの約2割を占めているという。必要事項を記入して乗務員に渡すだけで後日一括払いでき、経理処理が容易になるという利便性の高さは、企業にとってありがたいシステムだ。だがそのアナログな仕組みゆえに、タクシーの各営業所やタクシーチケットの請求業務を行っているビリングセンターでは、集計業務が大きな負担になっていた。

各営業所は、得意先のチケットナンバー、コードや金額、経路などを手入力してまとめたデータをビリングセンターに送る。そしてビリングセンターは、日本交通の営業所やグループ会社が受け取った月間約12万枚のタクシーチケットや、地方自治体が外出困難な心身障害者などに発行している月間約9万枚の福祉タクシー券の仕分けや請求、入金管理などを一括して行っている。日本交通株式会社 管理部 ビリングセンターで実務を担当している近藤正美氏は、その苦労を次のように語る。

「ビリングセンターでは、各事業所等のチケットの合計金額と枚数が合っているかどうかを確認したあと、券種ごとに仕分け、さらに得意先ごとに並べ替えて請求内容をチェックしています。これらすべてを手作業で行っており、とにかく同じことをやり続けねばなりませんでした」(近藤氏)

この作業を軽減するためにOCRを導入し、全体の40%にあたる“QRコードに対応した特定のチケット”に限りスキャニングも行っていたそうだが、当時のスキャナーはとにかく読み取り速度が遅く、またその精度も低かったため、手入力するのと同じだけの時間がかかってしまっていたという。

日本交通株式会社
管理部 ビリングセンター
近藤 正美 氏

手作業で行っていたタクシーチケットに関する諸業務をAI×OCRで自動化

各営業所やビリングセンターには多大な負担がかかっているが、現段階でタクシーチケットをなくすことはできない。これらの業務を簡略化し、ビリングセンターに作業を一本化する仕組みが求められたものの、現在の作業量ではビリングセンターの負担が大きくなってしまう。この状況を改善するためのソリューションを模索していく中でたどり着いたのが、アライズイノベーションが提供するAI×OCRソリューション「AIRead」だ。

「AIRead」は定型・非定型の書類から大量の文字データを収集し、人工知能(AI)に文字の特徴を学習させることで、データ化(OCR)を行うソリューション。日本交通は2018年ごろ、タクシーチケットに記入される手書き文字を高い精度で認識させることができるという特徴から「AIRead」の検討を開始。同年12月に導入を決定した。日本交通の管理部 システム担当 部長の岡村敦司氏は、導入時の苦労を次のように語る。

日本交通株式会社
管理部 システム担当
部長 岡村 敦司 氏

「2019年2月から、5月のリリースに向けて80%以上の読み取り精度を目指してAIの学習を開始しました。特に重視したのは、読み取り前の仕分け精度ですね。次いで、チケットナンバーの読み取り、裏面のQRコード情報、そして手書きの読み取りの精度向上を図りました。調整が難しかったのは、数字やアルファベット、特殊文字が混在していたチケットナンバーです。手書き文字も枠からはみ出ているものなどがあり、AIだけでは判読できない例がありました」(岡村氏)

タクシーチケットは夜中に利用されることもあるため、必ずしも判読しやすい手書きの文字が枠内にきっちりと記入されるとは限らないという。こういったあやふやな文字を学習させると、かえって認識精度が落ちてしまう可能性があり、教師データから除外する場合もあったそうだ。また、チケットナンバーではデータ化されたあとに頭の文字を削るなどの処理を追加するといった機能追加も行ったという。

ビリングセンターで一括処理し、営業所の業務と残業を大幅削減

こうして「AIRead」は2019年5月から正式に日本交通で稼働を開始した。管理部 ビリングセンター センター長を務める佐藤宣之氏は、実際に「AIRead」を使用した感想についてこう述べた。

「主には、各営業所でひと月平均39時間ほどの業務量を必要としていた入力業務が削減されました。残業時間もひと月平均50時間ほど減っています。これがそのまま『AIRead』によって実現できた成果といえますね」(佐藤氏)

また、岡村氏も「今までは営業所の方で得意先のチケットナンバー、コードや金額、経路などを手入力していたのですが、これをビリングセンターで集中して読み取ることにしたのです。これによって、営業所の作業は裏面のQRコードをハンディスキャナーで読み取り、金額を入力するだけになりました。副次的には、入力速度が人に依存しなくなったため、誰がやってもほぼ変わらない時間で入力できます」と導入の効果を語った。

日本交通株式会社
管理部 ビリングセンター
センター長 佐藤 宣之 氏

タクシーチケットをスキャンしているところ

一方、これまで営業所が行っていた作業がビリングセンターに移行したことで、ビリングセンターに読み取り作業が集中することになった。だが、同時にスキャナーも新しいハードウェアに替わり、読み取り速度も格段に改善したため、以前ほど読み取りで苦労することはなくなったという。

「営業所の業務が格段に減った一方で、実はビリングセンター側の業務は増えているんですよね。人間の場合、単純作業を繰り返すと時間が経つにつれて作業の精度も速度も落ちていきますが、そういった単調な作業をAIが代替してくれるようになったことで精度や速度が一定になりました。そのため、営業所の業務が追加されたにもかかわらず、これまでと同程度の業務時間や人員で管理できています」(近藤氏)

ビリングセンターの様子

実は読み取り作業をビリングセンターに寄せていくに従い、「AIRead」サーバーの処理が追い付かないという問題も発生したという。これに対し管理部は、サーバーの見直しや増強、並列処理数の変更といった工夫を施して、処理枚数増加対処を行っているそうだ。

日本交通株式会社
管理部 システム担当
課長補佐 堀井 正昭 氏

「AIRead」を実際に稼働させる裏では、さまざまな苦労があったことがうかがえるが、管理部 システム担当 課長補佐の堀井正昭氏は、このような問題に対し「アライズイノベーションは力を入れて対応してくれた」と話す。

「たとえば、先に述べたチケットナンバーの頭の文字を削るといった処理は、アライズイノベーションさんと相談した結果実現したものです。また、チケットの色で仕分けするという処理も、アライズイノベーションさんの提案で可能となりました。さらにユーザーインターフェースを工夫し一覧による目視性を高めるなど、「AIRead Screen Designer」での機能追加で現場の声に合わせて使いやすくなるよう工夫していただきました」(堀井氏)

請求書や申込書でのAI×OCR展開や福祉タクシー券の読み取りを目指す

紙で発行されるタクシーチケットという日本独自の文化は、今後しばらくは残り続けるだろう。日本交通は、請求書やタクシーチケットの申込書など、他の社内業務でAI×OCRを積極的に使っていきたいと展望を述べる。さらに、現在対応できていない企業特有のタクシーチケットも読み取れるよう、順次改善を行っていきたいと語った。

「当社の業務で利用比率の高いチケットとして福祉タクシー券がありますが、現在はまだ対応できていません。これは“500円で1枚”といったタイプのタクシー券で、これまでとは異なる処理を必要とするため、UIを新たに作る必要があります。『AIRead』のさらなる機能、カスタマイズ性の向上に期待しています」(佐藤氏)

ITを駆使してタクシー業界を変革させている日本交通。もはや同社では「『AIRead』が止まってしまうと当社の業務が回らなくなってしまいます」と言うほど、業務において「AIRead」が欠かせないものになっている。その業務の影では、アライズイノベーションのAI×OCRソリューションが活躍していたというわけだ。今後AI×OCRがタクシー業界をどのようにデジタルトランスフォーメーションさせるのか。その動向が注目される。

日本交通株式会社

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事例リーフレット
日本交通様 タクシーチケット集計業務効率化事例

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