株式会社アドビュート様

物流事務をAI×OCR、RPAで省人化!
物流業界におけるDXの重要性とは?
業種:物流業
製品:AIRead、AIRead ETL Option、AIRead Screen Designer(Wagby)

埼玉県北本市で物流業を営むアドビュートは、IT化が遅れがちの物流業界において中小企業ながらも社内のDX化を推し進める先進的な企業だ。2019年、同社は人の手によって行われていた物流事務をAI×OCRソリューションの導入によって刷新した。事務作業の自動化と省人化を実現した同社の事例から、物流業界ならではの課題とDX化の利点について迫っていきたい。

10年後も生き残るための経営戦略とは?

アドビュートは、倉庫業・運送業といった物流を中心として、デジタルトランスフォーメーション(DX)コンサルティングや個人向け保管サービスなどを展開している。加須・鴻巣・前橋に営業所を構え、地域密着型企業として県央に根差す形でビジネスを進めてきた。

同規模の他社や大手運送会社では扱いづらい通販系の地域配送、食品の卸輸送といった手間のかかる商材を選んで取り扱っている。現在では、大手運送会社からの引き合いも多いという。新型コロナウイルス流行の影響も受けずにおり、創業からわずか5年で業績を伸ばしている急成長企業だ。
同社は昨年7月、社内でDX推進室を作り、10年後の経営を見据えたビジネスフロー改善の取り組みを開始。3つのモデルを計画しており、うちひとつはコロナ禍によって一時中断しているものの、2つのモデルはすでに完成している。アドビュート 代表取締役社長の高𣘺 守 氏は、DXの推進を進めることになったきっかけを次のように述べる。

「DX推進のきっかけは、ある食品メーカーさんに受注センターという業務を委託いただいたことです。当時、毎日のように数百枚のオーダーがFAXで送られてきて、その内容を8人のパートさんが確認して、メーカーさんの基幹システムに入力をする作業が発生していました。この作業では、住所や届け先といった重複したデータを何度も入力しなくてはいけず、まずこの無駄を省かなくてはならないと考えたのです」(高𣘺氏)

物流業界では、顧客の指示のままにビジネスフローをアナログに構築することが多いという。だが今では、通販会社やITシステム会社が情報処理をもとに商流をスピーディに行う取り組みが増えている。同業界は利益率が低く、収益は物理的な受注数や床面積に比例する傾向があるため、中小企業が価格と数の勝負をしてしまうとただ経営的に疲弊し、将来はないと高𣘺氏は考えた。そこで、さまざまな業種・業態のお客様に対応して収益をあげることを目指し、自社業務のデジタル化を推進するためにDX推進室を立ち上げたのだ。

株式会社アドビュート
代表取締役社長
高𣘺 守 氏

発送依頼書をまとめている様子

「ITシステム会社が物流のTOPになる時代もやって来るでしょう。そして、現場にいる物流業者に指示を出すことになります。その指示を出す立場を目指さないと、収益率を上げ、会社を存続させることはできません。DX推進はその第一歩と言えます」(高𣘺氏)

多い仕様変更も可能!スピーディなシステム構築を実現したローコード開発

DX推進の初手として考えたのが、事務作業に関するオペレーションの改善だ。従来の受注処理は営業所ごと、取引先ごと、商品ごとに異なり、その内容を熟知した人材が処理を行っていた。しかしその処理は煩雑で属人化してしまっており、仕事を引き継ぐことが難しく、人材を集めるのも育成するのも困難な状況に陥っていた。

この課題を解決するために同社が採用したのが、アライズイノベーションのAI×OCRソリューション「AIRead」だ。2018年11月に導入の検討を始めた同社は、2019年2月にアライズイノベーションを訪問。ここで手ごたえを得て、2019年6月に導入を決定することになる。

そしてDX推進室は、2019年7月に業務自動化モデル構築計画を立案。9月末に4モデルの概要を作成し、10月から設計に入った。12月末にはすでに第1モデルが完成し、2020年1月に生データを利用したテストがスタートする。これと並行して1月末から第2モデルの開発がスタートしている。

このようにスピード感を持った設計・開発が行えた大きな理由は、ソースコードを書かない、あるいは最小限のソースコードでソフトウェアを開発する「ローコード開発」を行ったことにあるとDX推進室 ディレクターの岩澤 仁 氏は話す。

「『AIRead』には、『AIRead Screen Designer』『AIRead ETL Option』といったローコード開発のプラットフォームがついているのが良い点です。開発スピードの速いローコード開発を用いて、オンプレミスで丁寧かつ素早く構築していく必要がありました」(岩澤氏)

このローコード開発に大きく関わったのが、システム構築やソフトウェア開発を行っているインテージテクノスフィアだ。設計部分は実務に精通しているアドビュートが、開発部分は技術者集団であるインテージテクノスフィアが担当することで、2~3カ月ごとに1モデルの構築を実現。岩澤氏は、同社のシステムにフィットした理由について話す。

「AIReadは、既存の基幹システムに外付けでドッキングさせられるのが強みだと思います。今回の導入では現場ごとに事務処理の内容が異なるというアナログな世界をひとつひとつ丁寧にシステムに置き換えていかねばならないので、業務を自動化するための選択肢はオンプレミスしかありえませんでした。古い業界ほどあいまいな業務指示や商品注文が入りますから、あらゆるお客様に対応したシステムをクラウドで作りこむには基幹システムの改修も必要ですし、それは資金力のある物流大手でなくては難しいでしょう」(岩澤氏)

株式会社アドビュート
DX推進室 ディレクター
岩澤 仁 氏

アドビュートは、アライズイノベーションから見ても「ここまで細かく作りこみを行う企業は珍しい」と言われるほどの仕様書や従業員向けマニュアルを作成している。ビジネスプロセスを棚卸しテキストに起こすことで見える化し、AIRead導入後の作業工程を整理したのだ。これによってドキュメントと実態での齟齬の発生を防ぐだけでなく、ITに慣れていない現場の従業員や新入社員がすぐに新しいシステムを使うことができる。

引継ぎもスムーズに行えるマニュアル

3社の協力体制により、迅速な開発を実現したアドビュート。岩澤氏はこれまでの開発を振り返り、アライズイノベーション、インテージテクノスフィアの感想を次のように話した。

「アライズイノベーションさん、インテージテクノスフィアさんとはSlackでやり取りを行っていまして、情報共有は非常にうまくいっていると思います。インテージテクノスフィアさんはローコード開発の経験はまだ少なかったようで、第1モデルの開発では苦労もありましたが、プロの技術屋なので細かいマッチングをできる点が特に心強く感じました。いろいろな技術サポートもしていただけますし、大手のSIerさんと違ってフットワークが軽く、朝一で連絡を入れると夕方には返ってくるのも大変助かりました。DXで一番大切なのは、開発を繰り返して環境を改善していくことですからね」(岩澤氏)

従業員の心理的な負担を軽減したAIRead

アライズイノベーションの「AIRead」などを活用しつつ、DXを推し進めるアドビュート。だが大きな壁となるのが、従業員が新しいシステムを円滑に利用できるかどうかだ。倉庫事業部 加須営業所 所長 兼 DX推進室 アドバイザーの高瀬 忍 氏は、現場の状況を次のように説明する。

「我々の業界ではPCに触れることがなかなかありませんし、そもそも『IT』をスキルとして持っている人がいません。事務ですらエクセルで表を作ってなぜか電卓を叩き、それらを目で突き合わせて確認しているような状況でシステムを変えるというとやはり抵抗感はありました。一方で、現場で出荷・入庫処理をする人は、打ち間違えを心配して手入力に憶病になっていたことも事実です。それがAI×OCRで読みこんだ内容をチェックするだけになったため、ワンクリックで済むようになり、非常にやりやすくなりました。AIReadがトリガーとなり管理に間違いがなくなったのです」(高瀬氏)

株式会社アドビュート
倉庫事業部
加須営業所 所長 兼 DX推進室アドバイザー
高瀬 忍 氏

AI×OCRに読み込ませるため出荷依頼書をスキャンしている様子

前述したマニュアルなどの効果もあり、現場の従業員は約2日で新システムの工程を一通り学び終えているという。従来は顧客から流れてきた情報をもとに午後1時から作業を始め、午後4時30分までかかっていた作業が、今回の導入で2時間も短縮できるようになったそうだ。

「現場では『断然早いし、覚えやすい、わかりやすい』という声があがっています。なによりも手入力による打ち間違えやコピー&ペーストの貼り付けミスが発生しないことが心理的な負担を大きく軽減しているようです。それに、私たちの業界ではそのようなミスで荷物の数や配送先が変わってしまうといった致命的な失敗につながります。現在ではミスの防止にくわえ短縮で空いた時間を他の業務で使えるようになりました」(高瀬氏)

岩澤氏は、これからAI×OCRやRPAを利用するであろう企業に向けて、次のようなメッセージを送る。

「まず、AI×OCRやRPAによる自動化は100%を求めてはいけません。現在AI×OCRでは識字率に焦点が当たっていますが、それよりもビジネスプロセスを整理するところからはじめるべきです。システムを連携して自動化するという点で重要なのはコードであって、漢字のような文字が出てくるところは少ないんですよ。現状では、わかりやすくシンプルにして人間が介入できるようにしなくてはなりません。例外事例は手で処理するくらいの割り切りが必要でしょう。既存のシステムとどうつなげ、いま持っている情報をどう有効活用するかも重要です。スモールスタートで徐々に育てていきましょう」(岩澤氏)

中小・零細企業でいま求められているのは「実務作業の自動化」

率先してDXを推進し、実務においてITの積極的利用を始めたアドビュートだが、このような企業は物流業界では依然、数少ない。高𣘺氏は、物流の末端における課題を次のように語る。

「まずDX化は物流業界に非常に向いてます。ですが、多くの中小・零細企業では“社内にITを理解した上で扱える人がいない”という問題があります。物流大手やメーカーはすでにDXを進めていますが、これを現場におろす方法はわからないのです。現場で継続・運用し、実務的に機能させることができるか。これこそが今後の物流企業にとっての課題です」(高𣘺氏)

“最先進のIT技術によってロボティクス化された物流拠点”という光景は、まだまだ一部の上場企業のものでしかなく、現状中小・零細企業で導入するのは資金的に不可能だ。実務作業の自動化こそ、中小・零細企業においていま求められるDXといえるだろう。高𣘺氏はこの「AIRead』導入を皮切りに、さらなるDX推進も計画している。

「社内のDX化がひと段落した後には、事務が在宅勤務を行えるようなテレワーク環境づくりなども検討しています。こうした技術を同業他社へソリューションとして提供するといったDXコンサルティングの事業化も進めています。これが今後の当社の事業においてカギとなるでしょう」(高𣘺氏)

ウィズコロナ時代、インターネットを介した通信販売の発展などにより物流の重要性は否応なく増している。一方で労働人口の減少によって、同業界ではドライバーや事務員などの恒常的な労働力不足が深刻化している。この課題に正面から向き合ったアドビュートと、それを支える「AIRead」が日本の物流の未来を考えるきっかけになることを願いたい。

株式会社アドビュート

住所 埼玉県北本市宮内4-180
Webサイト https://www.adobute.co.jp/

事例リーフレット
アドビュート様 物流事務省人化事例

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